2023年1月29日 日曜日

朝起きて、しばらく横になってぼんやりしているとカーテンの隙間から陽が射し込んできて、なんとなく部屋がなんとなく感じの良い雰囲気になったのでカメラで撮った。どうでもいいものが整理されずに散らばっている——それも、ネクタイピンとかそういうちょっとおしゃれな小物ではなくて、もっとどうでもいいもの——部屋だけれど、まあそれでも悪くないかも、と最近は思うときが多い。いかにも私の性質を反映したような感じで落ち着く。

ビルの池が凍っていた。

昼過ぎ下北沢へ向かう。友人の内見に付き合うため。不動産屋は下北沢だったが、そこから十分くらい歩く、どちらかと言えば池ノ上が最寄りの物件と、それから笹塚の物件を二つ紹介される。電車で移動させられるのは面倒だが、不動産屋のお姉さんは「日曜で道が混むので」と言って車を出すのをうまく回避していた。たぶん実際混むのだろうとは思うけど。

友人は昨日この不動産屋に飛び込みで入って物件の紹介を依頼して、今日同じ人に内見の案内をしてもらっているらしかった。担当の女性はすごく調子の良い人で、歳の頃は我々より数個上。不動産屋らしく押しの強い感じで、「今日決めちゃって私とお兄さんたちとでスマブラしましょうよ」とかすごいことを言っていた。麻雀の方がいいですね、と言ったら、「私麻雀好きすぎて愛犬にロンってつけちゃいました」と言われた。

友人はそれなりに残業を課せられており手取りもそれなりな上、堅実な性格で二十四歳とは思えない貯蓄額なので、真っ当な部屋を紹介してもらっていた。新宿区内、山手線の内側で二十平米以上あるのに月六万の我がボロアパートとはえらい違いだったが、私などはいつ会社を辞めてもおかしくない人間なので固定費は安いに越したことはなく、それで満足している。

私が内見をしたのはもう一年近く前だが、相変わらず、さあどうぞ見てくださいと言われてもここでどう生活をしていくのか想像がつかない。何を見ればいいのかわからないまま水回りを眺めたりエアコンの年式を確認したりしている。あと何度か引っ越しをすればかなり良し悪しがわかったりするのかもしれないが、不動産というのは消費者にとっては不利な市場である。

三件の内見を終える頃には日が暮れていて、笹塚のロッテリアで飲み物をおごってもらった。本当はチェーンのカフェに入ろうとしたのだが、どこもえらく混んでいた。笹塚は「南蛮茶館」と「雅」で煙草が吸えて、それらは多分空いているだろうと思ったが、友人は(私の友人ではかなり珍しく)煙草が苦手なので、喫煙ブースのあるロッテリアで妥協する。

私は京王線はなじみ深いのだが、彼は中央線の沿線に住んでいるので、笹塚は初めて降りたらしいが、来てみるととても気に入った様子。私は笹塚を前からプッシュしていたので、だから言ったのにと思った。友人は「笹塚は確定でいいや」と言って、部屋がかっこいいけど電車の騒音が気になるかもしれない二件目と、部屋は普通だけど暮らしやすそうな三件目でしきりに悩んでいた。私は、いま選ぶなら三件目だけど初めて一人暮らしするならたぶん二件目を選ぶだろうな、と言った。

最終的に、まあいいや、帰って親と相談するわ、と言って、それより飯食わねえ? となったので、ロッテリアのすぐ近くの武蔵家に入る。なんかジャンクなものばかり食べているが仕方ない。男二人で飯を食うとなると七割方ラーメンになる気がする。

それで解散したが、まだ六時半だった。結構歩き回ったり知らない人と話したりしたのでなんとなく疲れたが、まだ六時半と思うと微妙に暇を持て余しているような気がした。とりあえず煙草を吸ってから京王線で新宿へ。ブックファーストで気になっていた本をチェックしたが、いま買うほどではなかったので、バスに乗って帰った。帰宅してBondeeをやっていたら時間が無為に過ぎていった。何をやっていいかはよくわからないが作り込みがすごいアプリだなと思った。面白い気がするけど、続く気はしない、そんなサービス。

友人は家に帰って結局、親にも三件目を勧められた上で、二件目に申し込みをしたらしい。かなり優柔不断な人なのでびっくりした。