2023年2月1日 水曜日

2023年の2月、この国でいま一番ホットな話題は回転寿司における衛生の確保であり、その脆弱性を示した高校生は非国民として四方八方から批判されている。私はああした人民裁判が大嫌いで、もちろん馬鹿な高校生も好きではないが、己の狭量な正義と倫理に心酔し、インターネットの表面的な匿名性をいいことに口さがない人間たちに比べたら幾分ましだと思う。

それでとにかく回転寿司の話題や店内の映像を目にすることが多い状況で、友人がそれを踏まえて「寿司を食べに行こう」と誘ってきたので仕事のあとに行くことになった。高校生ひとりの行いによって時価総額が百億円単位で下がったという回転寿司チェーンを予約した。

その予約の少し前に友人は家を訪ねてきて、煙草を吸い、私が先日回収したダークバッグを使ってカメラからまだ撮りきっていないフィルムを取り出していた。そんなことをしているうちに予約の時間が迫ってきたので家を飛び出たら友人は鞄を忘れた! とか言ってまた戻った。時間は大丈夫だった。昼間は風が強かったらしいがもう止んでいて、かなり過ごしやすい。

寿司は美味しいことで知られる料理であり、衛生面に多少の疑念が生じた現在でも、店内はそれなりに混み合っていた。逆にいまが一番衛生的なんじゃないかとか軽口を叩く。回転寿司といいながらも、寿司は姿を消してわさびだけが回っていて、客のテーブルまで注文されたネタを直送するレーンだけが稼働していた。

私は熱い飲み物をめったに飲まないので回転寿司ではおおむね水を飲んでいる。それで水を取りに行ったら、わらび餅の上でダウジングをしている女性がいた。なんらかの鉱物と思しきペンダントトップをぐるぐる回している(あるいは、回っているのか)。なんなんだと思う。

寿司をひととおり食べて店を出てもまだ宵の口だったので、遊ぶかとなった。とは言っても何をして遊ぶかなど思いつかず、とりあえず目についた無印良品に入った。友人は四月から一人暮らしをすることになったので、新生活の準備がとか言いながら、店内をうろちょろした。

結局友人は何も買わず、私がアイロンマットとかいう、アイロン台の代わりになる厚手の布を買って出た。先日スチームアイロンを買ったのだが、アイロン台がないので衣類スチーマーとしてのみ使っていた。これはアイロン台と違って場所をとらないからいいな。まだ使っていないので本当に代わりになるかはわからない。値札には1,290円と書いてあったのだが、レジでは袋に入れてもらっても1,000円しかかからず困惑していたら、値札は2月3日からの新価格だった。

無印を出ていよいよすることがなくなり、でもまだ帰るには早いので<クール>に入る。クールは、歌舞伎町一番街の突き当たりにある23時間営業の喫茶店で、すべての席で煙草が吸え、いつ行ってもいかめしい人たちがいるが、治安はまったく悪くない不思議な場所である。クールでそれぞれ飲み物を二杯飲み、結婚の話、仕事の話、共通の知人の近況など、ありとあらゆる土地で繰り広げられるどうでもいい話をひたすらして解散した。

ミスドの横手から「四季の路」に入って帰る。ここは突然まわりと異なる雰囲気で、なんだか不思議な気持ちになる。シティ・ボーイなのでNujabesとかを聴く。元々は都電の線路だったらしいということを最近知った。

四季の路

撮れ高がないときはアレ・ブレ・ボケにしとけばよい。