2023年1月28日 土曜日

志賀耕太という、高校以来の友人が東京藝術大学大学院美術研究科油画第2研究室修士課程という長い名前のところにおり、彼が修士を修了するので藝大の卒展(・修了展)に、ほかの友人と連れだって行ってきた。彼の院試の作品制作を手伝ったのはついこの前のように思われるのに、もう二年経つらしい。

待ち合わせの少し前に、根津の友人宅を訪ねてダークバッグと現像タンクを引き取る。以前フィルムの自家現像に興味を持ったとき、道具を一式秋葉原のヨドバシカメラで揃えて、そのままタクシーでここに運んで現像したのだが、それ以来まったく使わずに彼の家の空間を占拠しながら埃をかぶっていた。

別の知り合いからダークバッグを持っているなら貸してほしいとしばらく前に頼まれていたのだが、ずっと忘れていてようやく引き取った形。ほかにもまだ種々の薬品やボトルなどもあるのだがかさばるのでもう少し置いてもらうことにした。

昼過ぎ藝大で、ほかの友人たちと待ち合わせ、腹が減っていたので学食で鹿肉の入ったカレーを食べる。随分おいしい。ここの学食はなにやらジビエのなんとかとかちょっとおしゃれな感じのメニューが揃っている。普通の学食とは一線を画している。以前ここに来たときはまだ私も学生で、量が少ない割に高いなという印象だったのだが、もうそうは思わなくなっていて(相変わらず量は少ないが値段は安いと思う)、これが会社員になるということか……などと思った。

藝大の卒展は藝大のキャンパスと、すぐ近くの東京都美術館の両方で行われていて、おおむね大学院が藝大、学部が都美という分類になっているよう。志賀の展示をしている建物に入る。藝大の修士課程では(おそらく少なくとも油画専攻では)各人にアトリエが与えられるので、そこで展示しているように思われた。ふつう卒展といえばそこら中に作品がずらーっと並んでいるもので、かなり贅沢な展示空間。作品はなかなか面白い。油画専攻ではあるが彼は絵をほとんど描かず、映像とインスタレーションが中心。文章が随分こなれたなと思った。

すべての学生が一斉に作品を展示しているので、心してかからないと見られないのだが、心していないので、ざっと見ることにする。東京都美術館にも行く。絵はでかければでかいほど良いな……と馬鹿みたいなことを思いながら見る。建築の学生が、ご自分でクレーンなどの免許を取得し、家の一部を縦方向に分離して移動するというめちゃくちゃな作品をつくっていてすごかった。22歳でこれを。

関田重太郎さんの作品。

大内風さんの作品。

木谷天音さんの作品。

宮宇地梨奈さんの作品。

一通り見て、歩き疲れたし煙草の吸える喫茶店でも行こうと「古城」に行くも店の外まで並んでいて驚く。結構大箱だし空いているかと思ったのだが。土曜日の夕方だからか、それとも「映える」喫茶店だからか。ついで「ギャラン」は、こちらはいつも通り混んでいて、最後に「マドンナー」に行って座れた。素晴らしい。しばらくくだらない話をする。

もうひとり、別の藝大の友人(こちらは音楽学部なので卒展には関係がない)も合流する予定だったので、河岸を変えることにして店を出る。改めてギャランに行くとさっきよりは並びが幾分減っていて、席数が多くて案外回転の悪くない店なので待つことにする。音楽学部の友人は四月からテレビ関係の音楽をつくる仕事に就職するので、キャリアの話が多くなる。根津の友人はこの前修士の入試を(筆記試験は)終えたところでこちらもやはり将来どうするかねみたいな話になる。予備校の先生になって生徒をオルグすればいいとか適当なことを言っておく。かなり楽しい時間だった。

お店を出るときに解散して、しかし根津の友人と私は腹が減っていたので麺屋こころに行く。こちらはギャランとは逆に回転が早そうなのに意外と待たされる。ジャンクな味でうまい。煙草を吸って帰った。