2024-03-25

昼間に惰眠を貪りすぎてしまったので仕事をせねばならないが、自宅では気乗りしないので近所のネットカフェに来ている。夜だとナイトパックが適用されて、数時間滞在しても千数百円で済むことが多い。とはいえお金を支払っていることには変わりなく、わざわざ移動して、わざわざお金を払って、というコスト意識から仕事に集中できることを期待しての行動である。

学生時代もよく同じことをしていた。ウェブ制作などのフリーランスまがいのことをして小遣いを稼ぐことがしばしばあったのだが、そのときは実家住まいで尚更集中しづらく、電車で十分程度の駅まで夜な夜な移動して、そこのネットカフェで徹夜で作業をして、朝方帰るようなことがよくあった。徹夜といっても、無理をしていたのではなくただ夕方に目覚めるような日が多かっただけである。

当時、ネットカフェは分煙の店がほとんどだったが、今私がいる店は全席禁煙であり、その代わり広いバルコニーが喫煙所になっている。バルコニーに出ると、何をして食べているのかよくわからない人たちがドリンクバーの紙コップやスマートフォンを片手に煙草を吸っている。この雰囲気にも懐かしさを覚える。

学生時代は普通のアルバイトもしていたのだが、それでは賄いきれぬ突発的な出費のために単発のアルバイトもたまにしていた。私は体力がなく、一方で時間を浪費するのは得意だったから、一番よくしていたのは試験監督だが、その口が見つからないときには、東京湾の物流倉庫に行ってピッキングをするとか、大学の新入生に配布するパソコンを数百台セットアップするとか、他にもいろいろなバイトをした。

そのなかで一度、パチスロの動作検証のアルバイトをしたことがある。指定された手順でパチスロを操作し、想定通りの動作をするか確かめるものである。なぜか夜勤の仕事で、上野駅近傍の雑居ビルに23時くらいに集められ、朝6時くらいまでひたすらパチスロを打ち続ける。

普通、そうした業務はパチスロが好きな人が応募するのだろうが、私はあいにくパチンコしかしたことがなかったので、まず「目押し」を習得するように指示された。ボタンが3つあるので、それを順に押してチェリーとか数字の7とかそういった役を3つ揃えるための技術である。それができないと動作検証もできないので、ひたすらボタンを押し続ける。

そのとき台がどういう設定になっていたかは知る由もないのだが、おそらく検証のために揃えやすい設定であり、1時間ほどである程度目押しができるようになり、その後は紙に記載された手順通りに検証を進めた。

だいぶ話が長くなった。その雑居ビルにも喫煙所があり、同じアルバイトをしている人たちがいたのだが、その喫煙所の雰囲気が、このネットカフェの喫煙所と似ているのである。薄暗いが広く、何人か方々に散らばり、誰も他人と話したりせず、別に憂鬱そうでもないが、希望も特にないような表情の人々が、ひたすら煙を吐いている。東京は広いと思った。

そのような日々が過ぎ去って、今日のネットカフェに至る。何かは変わり、何かは変わらない。今では聴かなくなったバンド。私はどこへ向かっているのだろうか。