2023–07-22 Sat.

首尾よく朝八時くらいに目覚めた。起きると、ある人から思わせぶりなメッセージが来ていて(夢に出てきてくれてありがとう、みたいな)、そんな思わせぶりなことを言うだけ言って別にどうということもないのだから、そんなことはやめてくれと気持ちの赴くままに長文のメッセージを送りつけた。

というのも、昨晩夜更けに、以前私が思わせぶりなことをした人から久しぶりにメッセージが来て、話したい、会いたいと言うので、会う分には構わないが会っても特にいいことないと思いますよ、僕はそんな大した人間じゃないですよ、と返したところに、朝、今度は立場が交替したような形でそれが再現されたので、滑稽なような恥ずかしいような気持ちがないまぜになって襲ってきて、そのような行為に及んだわけである。

いつまで思わせぶりなことを言ったり言われたりする人生なのだろう。同世代には結婚し子を生み育てている人間もいるというのに、と思うが、でも穂村弘は三十代後半にもなって「恋ができなくなった」とかエッセイに書いていたな、だけど彼は短歌が上手く、私には特に何もない。

マッチングアプリをしていると時折、出会ったばかりの人とセックスすることがあるが、そのたびに、この人の周りにもこの人に恋焦がれている人がいるんじゃないかと思う。そんなところへぽっと出の私がやるだけやって去っていくわけである。互いの合意の上だからそれでいいのだし、別にセックスがすべてではないが、この人のことが好きでもなんでもない私がそれをしているのに、思いを募らせている人が簡単にそれをできなかったりする。もちろんその思いを募らせている方の人間が私になることもある。

朝からそんなことを考えながら東京郊外の実家へ向かう電車に乗る。京王線で新宿から三十分くらいの街である。父親が特急の止まる駅まで迎えに来てくれるというのでロータリーで待つ。牧歌的な街だな、と思う。会社に勤めるようになってから以前より若干身なりに気を遣うようになったのだが、それは部外者と打ち合わせをすることの多い仕事だからとか、あるいは多少懐に余裕が出たからだと思っていた。だけどそれだけではなく、こんな中産階級の家族ばかりが住んでいる呑気な街でおしゃれなんかしても仕方ないという感じが若干あったんじゃないかと気づいた。とは言っても、このあたりに生まれ育ったおしゃれな友人もたくさんいるわけだが。

車中、父親との会話は弾まない。この前高校に入学したばかりの弟が学校をやめるという話を聞いた。詳しいことは知らないが、さまざまな問題を引き起こし、教師からは、退学になるよりは自主的に学校をやめるという形をとった方が良いと思います、と言われるような状況であるらしい。やるなあ、と思う。通信制の学校に編入を考えているが、そこで必要なパソコンだかタブレットだかがあるので今度それを見繕うのに同行してほしいとのことだった。

でも私も大学をやめているし、母親も高校中退だし、私の家では今のところ学校は出る方がまれという感じである。しかも親は私が大学をやめていることを知らず、卒業して就職したものだと思っているのだし、高校も温情で卒業させてもらったようなものだから、弟に対して何か偉そうなことを言えた立場ではまったくない。問題というのがせいぜい飲酒や喫煙や深夜徘徊やサボタージュ程度で済んでいるといいのだが。

そんな話をしていると父親に電話がかかってきて、父方の祖母からのものだった。胸が痛いので病院に行こうと思う、一人で行くより一緒に行った方がいいと思うのでそうしてくれないか、との頼みだった。祖母はその時代にお茶の水女子大学を出た優秀な人なのだが、最近はどうも少しぼけてきているらしく、体も調子が良くないのだろう。私の実家は自営業だが、その実務は祖父と祖母が一手に担っているので、どうなることやら、という感じで、祖母の仕事を代替するために父親がコンピュータを勉強していて、今日私が呼び出されたのもそのマシンを事務所で使えるように設定するためである。

事務所でその設定のほか、祖父の手書きの請求書や見積書をExcelで作り直すような仕事をする。途中抜けて、母方の祖母とお昼を食べに行く。父方の祖父母も母方の祖母も、そして私の両親や弟妹も、すべて歩いて五分くらいのところに住んでいる。私は小さい頃母方の祖母に育てられていたが、実家を離れた今ではあとどれくらい会えたものか判ったものではないので、戻る機会があればできるだけついでに会うようにしている。

実家にいた頃週に二回くらい行っていたラーメン屋に行く。時々この味が恋しくなるが、環七だか環八だかの外側にしかないような、郊外型のロードサイドのラーメン屋なので、なかなか行く機会がない。私はラーメンとチャーハンを、祖母は冷麺と唐揚げを頼んでいた。歳のわりに健啖家である。こちらの祖母もまだ働いているので、職場の話などを聞く。分譲マンションの清掃の仕事をしているのだが、管理人として赴任してきた元自衛官の人が、「私は上の指示がないと何もできませんので」という態度を崩さず困っている、という話がちょっと面白かった。自衛隊ではそれがいいのだろうが……。尋ねられたので、彼女とは別れそうだ、というか別れた、と言ったら、いいのよいいのよ、それもまた人生の経験だから、といかにもおばさんみたいなことを言う。

また事務所に戻って作業を終わらせる。このあと西国分寺に用があるという話をしていたら、祖父が車で送ってくれるというのでそうしてもらう。出るとき、病院から戻ったらしい父方の祖母が現れた。顔色は悪いが、声は元気そうで少し安心。喋ることもはっきりしている。ただ周りの者によると物忘れが多いらしい。私に手伝ってくれてありがとうと言い、私はお大事にして下さい、と返した。父方の、血の繋がっていない祖父母に対して、いつまでも敬語を崩すことができない。祖父にどうなんですか、と聞いたら、とりあえず火曜に血液検査の結果が出るのを待つしかない、とのこと。

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西国分寺には都立多摩図書館があり、雑誌を豊富に所蔵している。雑誌のデザインを見比べる必要があったのでここに赴いた。小一時間ほど滞在し、いくつかの雑誌を複写する。それから中央線に一駅乗って国分寺で降り、ジョルジュ・サンクでお茶をする。私が行ったことのある東京の喫茶店は、百はくだらないと思うが、なかでも五指に入る名店である。いつもワンオペのマスターはお元気そうで安心。ここが閉まったら泣いてしまうかもしれない。そしてこれを書いている。注文が出てくるまで時間がかかるので、時間に余裕のあるときに行ってください。味は折り紙つきです。オーレグラッセとアールグレイグラッセがおすすめです。私はお代わりして両方頼んだ。二杯目からは安くなります。

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ひととおり書いたあと、二階堂奥歯『八本脚の蝶』を読み返す。彼女は1977年の4月生まれで、26歳になる直前に自殺している。私は1998年の4月に生まれ、25歳なので、彼女が私と同じ歳だった頃に書かれたものとしてこの日記を読むことができる。その読み方ができるのは今しかない。

店を出て、紀伊國屋書店に寄る。ここの紀伊國屋は規模のわりに短歌のコーナーがえらく充実していて、私がここによく来ていた頃はそこまでではなかった気がするんだけど。話題書の棚なんてダイヤモンド社の新刊と穂村弘のサイン本が並んでいて、えらい取り合わせである。結局何も買わなかった。電車に乗って帰宅。

2023-07-21 Fri.

なんか無意味に早く目が覚めてしまって、寝不足だなと思いながら捗らない仕事をした。

業務連絡でインボイス制度に関する話題があった。誰が幸せになっているのかわからない。

もともと消費税の申告をしなくてよいのは年間の売上高が1,000万円以下の個人事業主だけだったと思う。私がフリーランス稼業で小遣い稼ぎをしていた頃はそれに当てはまり、まあ元から消費税を請求しないことが多かったのだが、別にしてもなんの問題もなかったわけである。

それを益税だとかなんとか騒ぎ立てる人がいる。インボイスでそれをなくせと。私は税制の実際のところはよくわからない。だけれども、多くの個人事業主にとっては手間が増えるか利益が減るかその両方で、良い制度ではないと理解している。私には他人が得をしていることが許せない感覚がよくわからない。あなたが損をしているわけではないのに。

私の拙い理解では、インボイスを利用しない個人事業主に発注すると、会社は仕入税額控除ができず損である。業界が業界なので、個人事業主に何かをお願いすることがよくある。そこで私は会社員として、会社によって対応も異なるだろうから詳しいことは言えないが、取引先がインボイス制度に組み入れられるよう、発注元という強い立場で、陰に圧力をかけるわけである。かけるつもりがなくてもきっとそうなる。そんなことをしたい編集者はいないと思う。私はかつてフリーランスの立場であったので、金額面の交渉などに立ち会うたびに、ただでさえやるせない気持ちになるのだが。

早めに仕事を始めたので早めに上がり、一眠りした。目覚めるとちょうど知人の仕事が終わったというので、お茶でもと誘った。紆余曲折あって、ニュー新橋ビルの地下のざっかけない居酒屋に行き、サラリーマンたちを観察しながら煙草を吸って話した。

店内は混み合っていたが、時間が経つにつれて一組また一組と席を立ち、空いてきた。私らもこの辺で出ることにして会計をお願いしたら、せせりの串2本を頼んだが来ておらず、しかし勘定に含まれていた。せせり来てないです、と言うと中国人と思しき店員さんたちはごめんなさいねと明るく謝ってすぐに訂正してくれた。

とはいえせせり2本なんて安いので、新しい伝票を受け取りながら「ありがとうございます、そんな変わってないけど」と言ったら「300円くらいね」と笑っていた。私はそれがなんだかいいなと思った。

ちょっと歩こうとなって、適当に新橋の街を散歩した。烏森神社を通りかかったのでとりあえずお詣りし、このまえ新橋のビルで爆発があったのだが、その野次馬をした。思ったよりしっかり爆発しててすごかった。怪我をされた人もいるし、そのテナントや周りのテナントもしばらく営業できないし、散々だっただろうと思うが、まあでも人が死んだわけではないからな、と思った。誰か死者が出ていたら写真を撮ったりはしなかったと思う。怪我や賠償の関係などで死にたいくらい辛い目に遭っている方もいるかもしれないが……。

とはいえ本当にただの野次馬なので、『ノルウェイの森』の火事を眺めるシーンみたいな気持ちになっていた。あの火事と同様、まあ人は死んでいないし、というような。爆発してるなあすごい、くらいのものだ。愛宕警察署と書かれたカラーコーンや、警視庁の立ち入り禁止テープでビルは入れないようになっていた。

2023-07-19 / 2023-07-20

2023-07-19 Wed.

夜全然眠りにつくことができず、というか途中からはもはや眠ることを諦めてひたすら考え事をしていた。Obsidianのメモ帳には以下が記されている。

何かよくわからないが、私は何かを見落としている。私は考えるべきことを考えられていない。安定した生活は実は刹那的な楽しみ。なにかがよくわかっていない。心が死んでいるのかも。怒りがない。考えられない。卑近なことばかり考えてしまう。もっと大きなことを見過ごしている。何を見過ごしているのかすらわからない。困ったことがないからアイディアもない。仕事にも支障が出る。アイディアが出ない。国の行く末とか考えたりしなくなった。私はどこへ向かっているのか。これならなんのために生きているのか? なにがしたいのか? それすらもわからない。

そのまま仕事を始めたので、眠くて仕方なかった。水曜は定例の会議があり、普段は2時間くらいかかるのだが幸いその日は議題がなく15分程度で終わった。助かったー、と思いながら寝た。なんかひたすらよく眠っていた気がする。夜、Twitterのスペースで知り合いと話す。気楽な話し相手がいることはありがたいと思う。

2023-07-20 Thu.

前日によく眠ったおかげかわりと調子が良かった。仕事のため書店へ行く。丸善丸の内本店。いま企画している書籍と類似した本をいくつか買い求める。丸本のトイレで鞄に傷がついていることに気づいたので、そのまま銀座のハンズに行って、補修クリームを買った。どんなものやら。

西銀座デパートの喫茶店に入って先ほど買った本を改めつつ、iPadに思ったことを殴り書きする。仕事が進んでいる感覚がある。自分のなかにあるものが乏しいので、何か参照するものがないと、物事を考えることができない。

夜、マッチングアプリの人と会った。喫茶店の前で待ち合わせということにしたら、直前に「顔がお気に召さなかったらそのまま話しかけずに帰っていただいて結構です」みたいなメッセージが送られてきて慄いたが、きれいな人だった。同い年だが離婚歴があり、フェアレディZに乗っている、という話が面白かった。なんだか破天荒な感じだが、堅いところにお勤めだった。結婚はそんなにしたいと思っていないが、離婚はしてみたいと思っている。

結局先週末に彼女と本ちゃんで別れたのだが、慣性で連絡が続いてしまっている。たまになら別に良いと思うのだが、しばしば。あんまりよくはない感じがしているが、話すこと自体は面白いので、困りものである。

2023-07-18 Tue.

また日記を書いてみようかなという気分になっている。

昼、ごまだれがついている海鮮丼が食べたいと思って探しているうちに、まあついていなくてもなんでもいいから海鮮だ、という気分になり近所の店を新たに開拓してみたら、美味しかったし、写真ではわからなかったがごまだれもついていた。店の入口にカップと蓋、アイスコーヒーの入ったポットが置いてあって帰りに持ち帰れるようになっているのもよかった。お店のInstagramをフォローしたらスタッフのノリが若干陽気な感じで、あまり好きじゃなかったが、実際の接客はつつましく好印象のものなのでそれは見なかったことにしよう。

夕方くらいに眠くて寝てしまう。今日は仕事は暇な日だった。長らく負担の大きかった仕事がついに終わる目処が立ったので。暇と言ってもやることはあり、ただそのやることがそんなに差し迫っていないだけである。とは言っても今月中くらいにはやらなければならないだろうな。まあ、明日明後日でちょっと形にしよう、と思って寝る。

起きたらLINEが来ていて、ダーツの誘いだった。眠ったら元気になったので向かう。恵比寿でご飯を食べているというので中目黒で合流することにする。中目黒はわりといつもそうなのだが、顔立ちがきれいで煽情的な人が多い。だからと言ってどうということもないので、困ったものである。

ダーツは1時間半ほどプレイ。やっぱり運動神経がないなと思わされるのだが、まあないなりに楽しい遊びである。最近結構ダーツをプレイしているのだが、毎回序盤は下手で、だんだん調子が出てきて、終盤はまた集中が失われて下手になる。上手い人の投げる様子を横目に見ると、ちゃんと自分なりのフォームが定まっていて、あとはそれをいかに同じように3回繰り返すか(基本的にダーツでは1ラウンドに各々3回ずつ投げるゲームが多い)という感じだが、私は投げ方が定まっていないのでなんかてんでばらばらのところに行ってしまったりする。ダーツバーの隣の卓は若い女性二人組で、店員が時々アドバイスをしていた。男性二人組には請われてもしないだろうなという感じがして、気楽な商売だとか悪態をつきたくなる。女性たちは迷惑そうではなかったが。

その後、銭湯に行く。そこのサウナに初めて入ったのだがサウナは充分に暑く、水風呂もなかなか冷えておりわりと悪くなかった。サウナ愛好者である友人は外気浴があれば……とか言っていたし、まあ私もあればいいとは思うが、今日はコンディションがよかったのかいつもよりサウナを楽しめたと思う。3セットくらい入った。週毎に男湯と女湯が入れ替わる銭湯なのだが、風呂を出たときに脱衣所に防犯カメラがあることに気づいた。もともと男湯には結構防犯カメラのあるケースが多いが、えーこれ女湯のときもあるの? 番台さん普通に男だったけどな……。まあ昔の銭湯の、本当に「番台」だったころは女湯の脱衣所など普通に見られただろうけど。

風呂でさっぱりして気分が大きくなり、恵比寿横丁でも覗きに行くか、となった。わざわざ日比谷線に一駅乗って恵比寿へ。恵比寿横丁はまあ、出会いのスポットである。クラブで言ったらナンパ箱みたいなものだと認識している。でも平日の夜ということもあって、人はそれなりに入っていたが私らが声をかけられるような感じではなかった。そもそも私は気分的にも技術的にもそういうのがあまり得意ではない。それなら新宿の相席ラウンジでも行くかという話もあり、そういう場所は大体その時点での両性の人数がウェブで公開されているのだが、まあ渋いなということで、ふつうに帰ることにした。お互い、明日は朝から出社でもあった。

友人は帰ると言うが、私はお腹が減っていて、恵比寿に来たし千吉(カレーうどん屋)が食べたいなと思ってそちらに向かおうと思ったがもう閉まっていた。友人のおすすめのカレーつけ麺に向かう。暑いかなと思ったが夏季限定の冷やしつけ麺というのがあって、悪くなかった。冷たいのに、いつものくせで息を吹いて冷ましてしまう。せいろはもちろん冷まさないから、脳がこれをつけ麺と認識しているのだろう。つけ麺なのだが。

山手線に乗って帰宅。自転車を地下鉄の駅に置き去りにしていたのでそこまで15分くらい歩く。駅で、これから夜間工事をするであろう空調服を身につけた男たちが、何やら資料を持って朝礼(夜だが)のようなものをしていて、皆きちんと資料に目を通していた。そういう積み重ねでこのインフラが形成されているんだろう。日が沈んでからとうに数時間経つが暑くて、それだけで汗が噴き出てきて風呂に入った意味ないなと思う。

帰ってから、夕方寝たせいで眠れる気がせず、phaの「曖昧日記」を2ヶ月くらい読まずにいたのを全部読み、燃えるゴミをまとめて出した。昨日くらいから、1階の廊下の端にゴミがいくつか放置されていて、そこにゴミの曜日が書かれた掲示板があるのでそれをゴミ捨て場と勘違いしたのかもしれないが、全然ゴミの日じゃないし、私は1階に住んでいてそこで虫が湧いたりしたらいやだなと思い、昼間適切な場所に移しておいた。それについて伝言を記したメモまで書いたのだが、まあそれをそこに置いた人は移動したことに気づくだろうし、うるさいこと言わなくてもそのうち覚えるだろうと思って貼らなかった。

近頃眠る前の読書としてKindle Unlimitedに収録されていがちな西村賢太の作品をいくつか読んだのだが(私は彼の書くものは結構好きだ)、少し飽きてきたので、次は何を読もうかなと思案している。以前買って、下巻の半分まで読んだ『禅とオートバイ修理技術』か……。だがもうかなり忘れているので最初から読まなければならないだろう。最近はリチャード・パワーズが読みたい気持ち。

2023-07-16 Sun.

先々週の週末は軽井沢へ行き、先週末は福岡に行った。そんな間違った予定の入れ方をしていたら風邪をひいて(というか明らかに福岡の同行者が風邪をひいていて(コロナではなかった))、なんか寝ても寝ても眠いみたいな状況で今週は過ごした。仕事とか全然捗らなかった。すみません。

とはいえ7月に入ってからの私は結構いい感じです。軽井沢も福岡も楽しかったし。6月に、7月になったらいいことがある気がする、といった旨を書いたが、わりとその通りになっていてうれしい。風邪はひいたが、どの道健康にすぐれた日はもとより少ない。思わず身体を鍛えようかなと思ってしまうくらいに。正直机に向かって何かをするような仕事であっても体力は必要で、仕事だけじゃなくて私は街を歩く以外の趣味は全部机に向かってするので、体力はあった方がいいということに気づきつつある。でも何からすればいいのかわからないんだよな。生まれてこの方、まったく身体を動かしてこなかった。

昨日の夜、「君たちはどう生きるか」を見たら結構元気になり、今日起きたら久しぶりにさらに元気な気がしたので洗濯して掃除した。とはいえこれらをすごくだらだらとやったので6時間くらいかかった気がする。だらだらとやるということはそんなには元気ではないということだと思う。もちろんそのうち5時間はTwitterを見たりただぼんやりとして煙草を吸ったりしていた。

そのあと友達と会った。いろいろと話して、明日(もう今日だが)の夜何人かで山手線を歩いて一周することになった。マジかー。大丈夫かな? 私は体力がないが、一時的になら人並み以上に動ける(たとえば旅行など)。ただとにかく後に引くタイプなので、正直、そうすると来週も仕事に支障が出る気しかせず、正気ではないし、やめるべきなのだが、この機を逃したら山手線を徒歩で一周することは人生でないかもしれず、仕事は(まさか来週へばってたくらいで首にはならないだろうと考えると)今後もいくらでもあるので、山手線を徒歩で一周する方が優先順位が高いという結論に至った。これを上司に説明できる胆力はないし、この優先順位を間違えるのは、本当に会社員としてダメだと思う。ダメだと思うけど、それなしで生きることはいまの私にはできない。

革靴で銀座から日本橋あたりを歩いたら、しばらく家に引きこもっていたのでそれだけで疲れて眠れなくなってしまった。だからこれを書いている。最近はとにかく眠くて日付が変わって少しすると眠っていたのでこの時間に起きているのも久しぶりだ。

今日街に黒猫がいて、おっと思い写真を撮ったのだが、猫の写真を撮っても送る相手がいないのが恋人がいないということなんだなと思った。恋人とは別れたわけじゃないが、依然距離を置いている。恋人がいても猫の写真を送らないタイプの人もいると思うが、私は送る。とりあえず、好きなお姉さんに送っておいた。

2023年6月17日(土)

なんだか最近しんどい。なにがしんどいのかはよくわからないけど、そういう時期らしい。何をやってもうまくいかないという感じがある。恋人と距離を置くことになって二週間が過ぎた。それ自体は、実際のところ、そこまでしんどくない気がする。話し合って決めたことで、他に道はないと思う。

四年半くらい付き合ったのに案外あっけないな、俺は情が薄いのかなとは思わないでもないが、仕方ないものと自分を頑張って納得させようとしている部分もあるかもしれない。それが決まったあとから、どうも何か疲れているような気がする。たとえば食器を洗う頻度が少なくなり、洗濯も随分とためてしまったりする。自分の場合、そういうところにまず出てくる。

仕事も最近は結構修羅場である。正確には、私自身は修羅場ではないのだが、私が手伝っている書籍がのっぴきならない状況のようで、メインの担当者は最近毎日出退勤時刻がすさまじい。会議で顔を合わせたら顔が土気色をしていた。おお、と思う。私はまだ新人で役に立てることが少なく、また向こうは向こうで私を修羅場に巻き込むことに気後れがあるのか、そんなに忙しいわけじゃないけど。なんなら申し訳ないことに、今は仕事のペースもいつもより若干落ちている感じがする。この章とこの章、明日までになんとかしてください! とか頼まれたら、私は俄然やる気が出るのだけどな。

とりあえず友達を誘って遊んだり、Tinderを入れてやり過ごしているのだが、どちらも気が紛れるとは思うが、そんなことばかりしていてもお金が飛んでいくだけだ(普段まったく酒を飲まないのに、今月は週1くらいのペースで飲んでいるし、ダーツもたぶん5回くらい行った)、Tinderに至っては結構不快な思いをすることも多い。ドタキャンとか。どうせ会わないならなんで一度会う約束をするんだろう、と私なんかは思うのだが。そういうことがあると、俺は何をやってるんだろうなあという気持ちになる。

最近はそんな感じで、なかでも何が一番しんどいかというと、しんどいときにしんどいと言える相手がいないことである。元気なときは恋人なんかいなくても楽しいのかもしれない。そうじゃないときが問題で、友人には幸い恵まれているので、実際は友達に弱音は吐けるけど、それはなんだか違うんだよ。

ところで、私は生まれてこの方寝付きがとにかく悪い。何もなければ布団の上で二時間くらい眠れないな……と思っている。だから睡眠薬を毎日飲んでいるのだが、それも万能ではない。今から恥ずかしい話をすると、だけど恋人と眠りにつくときは割とすぐ寝られる。私が求めているのはそういうことなんだと思う。恋人が四年半いたというのは、最後にそういうものがない状況になったのは四年半前ということで、そんなの私にとってはローマ帝国と同じくらい過去のことだ。

また学生の頃を思い出すと、同年代の人間があふれている上に時間の自由があるためか、そこには常に恋愛の萌芽のようなものがあった気がする。別に恋人がいなくても、そういう「なんかあるかもな」という状況は楽しいものだ(それが一番楽しいかもしれない)。会社員なんかやっていてもそういうものはない。あんまり会社行ってないしな……。実際には最近、あ、これ押せばいけるかも、と思ったタイミングがあったのだが(勘違いかもしれないが)、まあでは会社で押せるのかと言ったら押したくない。面倒すぎる。

結局、何かしんどくて、何をやってもうまくいかない、という時期は家でおとなしく本でも読んでやりすごしなさいということになるのだろうが、そうしていると鬱屈とした思考に支配されそうになるので、なかなかそうもいかない。消費的な時間の紛らわし方ではなくもう少し生産的なものを……ということで、撮りはしたもののそれを見せるような機会のない写真を集めた別のブログをつくった。少しずつ過去の写真も追加している。なんだか以前と比べると写真も下手になった気がして、それも若干滅入るのだが。

photos.konyadou.net

はてなブログでユーザーが公開しているテンプレートを利用しているのだが、いくらか自分でCSSを書いて、それなりにカスタマイズした。そういうことをするのは楽しい。昔取った杵柄だが、取っておいてよかったと思う。Flickrの改悪が続き、Tumblrもだめになっていて、写真をただ載せるというそれだけのことが難しい。Instagramはなんか違うし。本当は流行の技術も取り入れつつ、フルスクラッチでウェブサイトを作りたかったのだが、そこまでの気力はなく、ここでも使っているはてなブログに落ち着いた。

とりあえず6月をしのげばいくらか好転するような気がしているのだが。6月末には先の本の校了もあり、ボーナスもあり、7月には旅行の予定がいくつかある。それらはとても楽しみ。でもそこまでが長く感じられる。疲れたな。今日も午前3時に寝て、6時には起きてしまった。しんどさには寝不足もあると思う。寝不足じゃなかったら人は、こんな文章は書かない。もうひと眠りしたいのだが、たぶんうまく眠れない。なんだかしんどいなと思いながらうだつの上がらない一日を過ごし、夕方くらいに寝不足を補うように少し眠り、そしてまた深夜まで起きて、早朝に目が覚めてしまうのだろう。

今日はとりあえず部屋の掃除をして、天気も良いようだし時間があれば海か川でも見に行こうと思う。めんどくせえな。疲れたし。でもまあ部屋を掃除するとか食器を洗うとか、そういうことからしか物事はうまく運んでいかない。

2023年6月1日(木)

恋人と、一旦距離を置いてみようかという話になっている。「距離を置く」というのは別れることから、それこそどれほどの距離があるのだろう。付き合い始めてからそろそろ四年半が経つ。情はすごくある。だから別れるという言葉を使えないのではないかという旨を、遠回しに向こうは言っていた。

今までに何人かと付き合っては別れてきた。そして私はおおむね大丈夫だった。だから今回も問題ないと思う。私は立ち直りが早い。とはいえ気が滅入らないわけではない。せめて文章が感傷に走らないようにと気をつけているのだが、後から読み返したらだいぶ感傷的なものになっているのだろう。

仕事はさして手につかず、また幸か不幸か喫緊で手をつけるべき仕事もない。昼は肉を食べて、ブックオフに行った。なんだか散財してしまった。穂村弘の新しいエッセイがあったので買って読んだ。千葉雅也の『デッドライン』が文庫の百円棚に刺さっていたのをめざとく見つけて買った。そちらは半分くらい読んだ。以前にも図書館で借りて読んだことがあるのだが。『オーバーヒート』よりはこちらが好きだった記憶がある。『エレクトリック』は、まだ読んでいない。

明日の夜に、会って話す予定。時間が経つのがとても遅く感じられる。距離を置いてみてもいいかもしれないと思っている。お互いにそう思っている。私にはいくつかの提案がある。それを明日言ってみようと考えている。LINEの文面には親密さがそのまま残っている。

外は若干夏めいている。時間をどうやり過ごすか。パチンコでもしに行こうかと思う。あれは何も考えずにできるので、禅に近い。パチンコをするのは一年ぶりくらいな気がする。前回も夏の空気だった。このあと雨が降るらしいから、自転車で行ったら帰りが面倒かもしれない。明日は、大雨になるという。