2023-07-26 / 2023-07-27

2023-07-26 Wed.

打ち合わせのため一回出社。手伝っている書籍の本文のデザインがデザイナーさんから上がってきたのでそれについて顔をつきあわせて話す。本文の書体について話していて、他社の類書を見て「これはリュウミンですね」と言ったら「え、わかるんですか? さすがですね、すごい」と言われた。「そんな合コンみたいな……」と思ったし、そう言った。「せ」が何だったかいつも思い出せない。

リュウミンはめちゃくちゃスタンダードな明朝体で、車で言ったらカローラだし煙草で言ったらマイルドセブンだしビールで言ったらスーパードライである。だからそれがわかることはそんなに特殊な技能ではないと思う。それを知っているのはデザインをかじっていたからだが、何が役に立つかわからないものだ。

そのあと家に戻って退勤したが、人と話したい気分だったところにTwitter(もうTwitterじゃないのか)でいいねが来たので、同じ業界で働いている高校の同期を飲みに誘ってみる。ちょうど校了を迎えたところだったらしく、ありがたいことにOKだった。互いにそう遠くないところに住んでいるので適当に落ち合う。

雑な飲み屋に入り、雑な酒を飲みながら、仕事の話。同じ業界と言えど職種も担当しているジャンルも違うので知らないことが多い。迫力のある話をいくつか聞かされて、面白かった。プライベートの話もする。25歳というのはいろいろな方向で結構考えることの多い年齢だと思う。

高校の人、特に同期と話すとけっこう元気になり、助かる。あのとき一つ屋根の下で(でかい屋根だが)授業を受けたりサボったりしていた人たちがいまどんなところで何をしていて何を考えているのか聞くだけでも、ずいぶん力づけられるような気持ちになる。思えば遠くに来たものだ。

2023-07-27 Thu.

そろそろ自分の企画を提出しないと、なんとなくだめな感じがするので、先々週くらいに「今月中に出します」と言ったのだが、今月もあと明日と月曜しかなく、企画を提出できるタイミングは水曜と金曜だけなので、今日やらないとまずい。ちょっとは手をつけていたのだが、一番大変なところが残っていて、重い腰を上げてそれをやる。

何度かここに書いていると思うが、企画を考えるのは本当にしんどい。会社やジャンルによって異なるだろうが、私のいるところでは実際に執筆する以外のことはわりと編集者が考えたり手配したりする。とはいえ本1冊書くのはそれより遙かにしんどいわけで、世にあれだけの書籍が流通しているのは奇跡のように思える。

ただ、たぶん慣れの問題もあるし、人脈ができて著者(候補)と相談しながら考えられるというのもあるだろうけど、ベテランの編集者は訳もなさそうな顔で企画をバンバン出してきたりするので恐ろしい。

執筆をお願いしようとしている人が書いてきた文章を読みながら、それらに通底するものは何か考える。あー、とかいや何もわからん、とか口に出してしまう(家なので)。1Kのさして広くもない部屋をぶつぶつ何かつぶやきながら歩き回ったりする。数学者はコーヒーを定理に変える装置だとか言った数学者がいた気がするが、いまの私はニコチンを本に変える装置だ、とか思う。実際に変えるのは著者だし、いまどきは編集者も書く方も煙草を吸わない人が多いのだが。

頭で考えていても限界があるので、その人が書いてきた文章のトピックをすべてアウトライナーに書いてそれを並び替えたりくっつけたりしていたら(それをやりたくなくて仕方なかったのだが)、なんとなく糸口がつかめてどうにか企画をまとめあげられた。しかし明日の会議ではおそらく盛大なダメ出しを食らうだろうと思う。そういうものなのだ。

仮に社内でOKが出ても、今回はまだ著者に打診していないので、そこでNGが出る可能性もあり(普通は順番が逆なのだが、ぺーぺーなので先輩諸氏のGOサインがないと話を持って行けない)、そうするとこの仕事はひとまず徒労に終わる。時代にそこまで左右される種類の企画ではないので、当分温めておくことはできるが……。

こんなに仕事の話を書いて大丈夫なのかと自分でも不安になるが、大丈夫な範囲でしか書いていないはずである。せいぜい自分の首を絞めるだけで、誰かに迷惑をかけることはないと思う。考えが変わったらこの文章は消えます。

退勤して、図書館へ。商業出版の媒体では書いていない著者だと思っていたが、最近ある雑誌に寄稿していることがわかり、その雑誌が運良く近所の図書館に所蔵されていたので。当該の記事を複写して即座にラーメンを食べる。店の前に自販機と灰皿のあるラーメン屋で、食後にオロナミンCを飲んで煙草を吸うという、頭が疲れたときの行動を完遂してしまう。

帰り道、すごいでかいクレーン車が誘導の車を引き連れて道を走っていた。働く車、つまり働くcarだ、とか意味をなさないことを考えている自分に気づきつつ帰宅。最近昼間は馬鹿みたいに暑いけどもう日が沈んで涼しかった。