2022年3月11—12日

3月11日 金曜日

バイトのあと、新宿へ行く。不動産屋で契約。宅建士の身分証を見せられて重要事項説明を受けた。身分証に「岩手」と書いてあった。岩手で資格を取ったのだろう。そういえば東北っぽい訛り。内見のとき担当してくれた人も東北っぽい訛りだったので、もしかするとこの不動産会社は同郷の人を雇ったりしているのかもしれないと思った。

重要事項説明で耐震の話や津波の話などをされる度に「ちょうどきょうは3月11日ですが……」と前置きされる。もし東北出身ならなおさら何か思うところがあるのかもしれない。

署名と捺印を繰り返したあと、「今日内見していきますか?」と別の社員に言われる。もうすでに一回見たけど、不動産屋から徒歩十分くらいだし見ていくかと思いお願いする。メジャーを借りる。搬入経路や窓の寸法を測る。そのまま伊勢丹まで歩く。家から十五分で伊勢丹に着くのか、とうれしくなる。

伊勢丹でホワイトデーのお返しを見繕う。地下は大混雑。男たちがスイーツ売場に群がって、サダハル・アオキのマカロンなど見ている姿は、普段ないもので面白い。フロアを見ていたらジャン=ポール・エヴァンがあった。この前友人宅に箱があって、美味しいと言っていたのを思い出し、俺も真似してそれを買うことにする。

並んでいる最中に案内を見せられ、値段と見栄えと量のバランスから八個入りを買おうかと思ったのだが、ショーケースになかった。六個入りと十個入りは何個も置いてあったが。八個入りはチョコが四粒×二列なのだが、六個入りは一列で箱のスペースが有り余っていてやや淋しい。見栄を張って十個入りを買う。一粒で二年前のハイライトくらいの値段。どうかしてる。

伊勢丹を出て壱角家の前を通り過ぎたら壱角家の日でラーメン550円とか書いてある。別にあまりおいしくないと知っているんだけど家系が食べたくなりなんとなく入ってしまう。ライスも頼むと650円。地元ならこの値段でちゃんとした家系食えるなと思いながら無心で食べる。それでなんか消耗してしまってアルルへ行ってしまう。コーラ飲んでから帰宅。

帰ってから友人らと電話する。一人はコロナに罹っていてあきらかに病人の咳を繰り返していた。「喋ってる場合じゃないのでは」と思ったし、何度か言った。二時半くらいにそろそろ寝るかと思って電話を切るが特に眠れない。電気やガスや水道の申し込みをする。

3月12日 土曜日

たぶん朝の四時くらいに眠った。午前中に一度起きたが二度寝してしまう。昼過ぎに起きた。天気が良い。部屋は暑いくらいだった。

今日もまた新宿へ行く。暖かいので浮かれた気分になる。チョコレートを渡す。新宿御苑のほうまで散歩して、そのあと戻ってきてまたアルルへ。休みなので混んでいた。連れ合いが猫に好かれなくて悔しいと言っていた。

IKEAニトリなど物色して帰る。新生活でいろいろ入り用で困る。少しずつ揃えるつもりだけれども、引っ越しだけでなくたぶん就職にあたっても髪切ったり服買ったりしないといけないだろう。そんな金はない(食事したり喫茶店に行ったりスーパー銭湯に行ったりしているので)。四月が誕生日なのでちょっと早めてもらっていろいろ贈ってもらうことになった。ありがたい話。

解散して帰り道、『中原昌也 作業日誌』(そちらも金がないない言っている)を読んでいたら、初任給が入るまでの生活費を稼がないといけないことに今更気づく。いやアルバイトの給料は入るわけだけど、いろいろに消えていきそうで心許ない。暖かくなってきたし久しぶりにUber Eatsの配達でもするか……。あれは資本主義と情報産業が生んだ悪魔みたいなシステムなんだけど、気楽で手っ取り早くて助かるという側面も間違いなくある。まあなんとかなるだろう。実家に帰れば飢えることはない。

あとは、せっかく近いので用がなくても会社に向かってそこらへんにいる社員に取り入って昼飯や夜飯をおごってもらおうという皮算用を立てている。全然出社している人少なそうだけど。そういえば就職先から自己紹介のスライドに記入するよう頼まれていたのをいまちょうど思い出したのでここにメモしておく。

家帰ってぼんやりして『作業日誌』を読んでいたら11時でおかしいだろと思う。日記を読んでいた影響もあって、自分もここ二日のことを書くことにする。