2022年1月22日 土曜日

昼の2時か3時に目覚めた。平日はなんとかアルバイトをやれるくらいの時間に目覚めているのだが、休みになるとたがが外れたように寝てしまう。それをやると夜眠れなくなり、生活リズムが崩れていき、そうすると平日を寝不足で過ごし、また休みの日に貪るように寝てしまうという悪循環が起こる。この話前にもどこかでしたような気がする。

休みの日にもアラームをかければいいのかもしれないが、体が睡眠を求めているからずっと眠っているわけで、もしここでアラームをかけて「普通に」目覚めるとずっと睡眠が足りていない状態になるのではないかとおそれている。


祖母が小遣いをくれたのでどこか外に出るか、と思う。東京では飲食店への時短要請が出ているので、早めに出ないとどこもかしこも閉まってしまう、と思いつつ、ぼんやりしていたら夜に。

8時半くらいにバイトを終えた友人Sと下北沢で合流することになった。時短要請に従っていない悪辣な飲食店を探す。いくつかあり、感じの良いカジュアルなバーに入った。入るとレコードプレイヤーが鎮座していてアース・ウィンド&ファイアの『Let’s Groove』がかかっていた。ちょっとテンションが高いが友達といるのでちょうどいい。マスターも気さくな感じで好ましい。

ひたすら煙草を吸いながら政治の話をする。店内の空気は陽気で、常連たちはカウンターで女はマニュアル免許は要らないとかそういう場に適した話で盛り上がっていたが、我々は空いていたテーブルに通されたので二人で好き勝手話していた。彼とは本当に頻繁に顔を合わせているので積もる話とかはないし、いつも同じような話をしている気がする。友人関係というのはそういうものかもしれない。


『三行で撃つ』という文章術の本を読んだ。途中まで読んで積ん読していたのだが、その部分まででこの手の本にしてはわりと面白く、友人に薦めた。その手前自分でも最後まで読んでおくかと思い、木曜のバイトのあいま、暇な時間に読んだ。著者は、朝日新聞編集委員でいまはそれをしながら大分で猟もやっているという変わった人。

ちょっと説教くさいけれども、「わかりやすい文章」を超えた文章を書きたいならば読んでもいいと思う。わかりやすい文章の書き方はどこでも説明されている。インターネットにあるものだと安田峰俊氏の『片手間で教える文章講座』がよい1。そこでもたとえば企画の立て方については触れられているし、参考になるが、こちらのほうが(分量が違うので当たり前だが)より詳しいかなという気はする。方針だけでなく方法論まで触れられていると思う。とりあえず印象に残った箇所をひとつだけ引いておく。

 著者、編集者、校閲、デザイナー、印刷、営業、書店員……。一冊の本にかかわる人間の数は、たとえばネットの「note」に比べると、信じられないほど多い。新聞や雑誌に比べても、紙の本にかかわる人間の数は多い。

 それだけ多くの人間が熱中しなければできないメディアが、本だ。木を切り倒して、パルプ紙にして、紙にインクをにじませ、トラックに積み込み、ガソリンを消費し二酸化炭素をまき散らし、全国津々浦々の書店に運ぶ。時代にまったく逆行した環境破壊的なメディアが、紙の本である。たった一人の著者の情熱だけでは、とてもできあがるものではないのだ。

 そして、この時代に信用できるのは、熱だけだ。何人の人間が真剣になって、本気で作っているか。熱量の総和が圧倒的に多く、かつ、安価なメディア。それが紙の本である。このメディアを使い倒さないことは、あり得ない。

ただ編集者がつけたらしい太字の強調が多すぎる。どこを重要と思うかは読者の判断に任せてほしい。筆者が重要と思う部分であっても、本当に限られた部分だけに傍点を置くなどで留めておいてほしい。文章術の本がいくらでもあるなかで、あえてこの本を手に取る人はお仕着せの「ここが大事」は求めていないと思う。文章も、それを求めていない人に向けて書かれているのに。

文章術の本なんか何冊も読んでも仕方なくて、どれかに決めてそれを意識したほうがいいけれども、その一冊にする分には悪くはない。あとは文章を書く目的に応じて読めばいい。


  1. 今彼のTwitterアカウントを見たら今度本になるようだ。