2022年1月16日 日曜日

深夜の二時か三時まで、友人たちとくだらない話をしていたと思うが、なぜか揃って八時半ごろすっきりと目が覚めた。それでサンクレストに行こうということになった。

サンクレストは友人宅の近くにある喫茶店で、かなり素晴らしい。バナナジュースを飲んだ。常連と思しき老女が店に入って開口一番「マスター、金くれ!」と元気に言っていて面白かった。どういう文脈なのかはまったくわからない。挨拶であって文脈などないのかもしれない。

家主を含め四人いたのだが、一人は用事があるとかで店を出たあと別れた。自分を含む三人はまた友人宅に戻った。藝大の院生であるSがポケモンカードにはまっているらしく、最強のデッキを二つ組んだから対戦しようと昨夜から何度か言っていて、家主と対戦していた。そのあと俺も付き合った。ゲームとして面白い部類だと思うが、カードゲームなど子供のやるものという偏見から抜け出すことはできない。

家主は、交際相手であるYさんとともに武蔵美の卒展に行くことになっていて、俺とSも暇なので向かうことにした。基本的には、彼らは彼らで、我々は我々で見るということにして、とはいえYさんも含めて全員知り合い同士なので、気が向いたら落ち合おうという話に決まる。


武蔵美に行くのは実に久しぶりだった。大学一年のときだったか、そのYさんの作品制作を手伝うという名目で、ついでに大学のキャンパスを見て回るのが好きなので、お邪魔したことがある。とはいえ俺は本当に不器用なので(そして美大生というのは基本的にど器用な人種なので)むしろ制作の邪魔になる始末だったのだが。

大学は鷹の台という駅が最寄りで、国分寺からのどかな単線の電車に乗って二駅。記憶では、鷹の台駅からすぐの場所だったのだが思ったより遠かった。前回行ったときは国分寺からバスに乗ったことを歩いている途中で思い出した。

卒展は事前予約制ではあったが、当日に予約できたくらいで人数制限はおそらく厳しくなく、キャンパスは結構賑わっていた。大学に人が大勢いるのを見ること自体が久しぶりで、それで何か感動してしまう。あとそんなに広くなかったという記憶もあったのだが、結構敷地があり建物も多くて、全然当てにならない。

とりあえず煙草を吸おうと思って喫煙所を探す。学内地図で一番近いと思われた喫煙所に行ってみるとそこは閉鎖されたので別の場所へ行けとの掲示。行ってみると良い感じの喫煙所で、学生が勝手に作って設置したらしい椅子や庇もあり、大学というのはこうでなければ、と思う。東京藝大はあんなに喫煙者が多いのに一昨年だかに全面禁煙になったが、どうなっているのだろう。学生はともかく教員がそれに唯々諾々と従っているのだろうか。


キャンパスの構造ゆえなのか知らないが、同じ学科でもいろいろなところに展示場所が分散していて、そしてとにかくあらゆるスペースで展示しているという感じで、見て回るには疲れた。帰宅してからiPhoneを見たら二万歩近かった。卒展は午後五時までだったが四時過ぎには俺とSは結構疲れていて、ちょうどほかの二人にも挨拶できたので帰ることにした。

帰りは絶対バスで帰ろう、と言っていたのだが、バス停に長蛇の列ができていて諦めて駅まで歩いて戻る。二人ともほとんど無言で玉川上水の遊歩道を早足で歩いた。国分寺でラーメンを食べて解散。

家に戻ってから、マットレスに横たわることしかできない。しばらく横になってだらだらしていたら気力が回復してきたので森博嗣『相田家のグッドバイ』を読む。以前読んだことがあるのでさっと読み終わる。数年前に読んだときより面白く感じられる気がする。自分と親の関係であるとか、自分と社会の関係について考える必要がより切迫してきているからだろうか。佳作です。


文章を読んだので文章を書く気力が出てきて、これをつけている。事実を淡々と描写する日記はあまり面白くないと思うのだが、今日はそういう風にしか書けないようだ。